
小学校受験 家庭学習のポイントについて ~年長編~

今回は、受験生のご両親様からご質問の多い『家庭学習の進め方』についてお伝えいたします。
「家でどうやったら良いですか」「家ではぜんぜんやってくれません」「本当にこの方法でよいのでしょうか」など、これまで様々なご質問をお受けしました。小学校受験を経験されたご家庭の悩み事のなかでも上位にくる事柄です。家庭学習の進め方如何が合否に直接結びつくと言っても過言ではありません。それだけにご両親は熱が入り「今日中にこれを理解させないと」「昨日は分かっていたのにどうしてわからないの!」と焦ってこどもを叱り、精神的に追い詰めてしまう事例をよく耳にいたします。
こどもの希望に満ちた将来のために選択したものが悲劇にならないためにも、お子様にとってはもちろん、ご両親様にとっても有意義な『受験』といたしましょう。
入試までの期間に何を学ぶのか?
受験まであと10カ月。年長の生徒さんは、4歳までに培った『基礎力』を中心に5、6歳で獲得する能力を最大限に伸ばしていきます。

年長までに培っておくべき基礎力とは...
1)運動能力 (体を思い通りに使いこなす力)
活発に体を動かして遊ぶ習慣や規則正しい生活習慣の影響が積み重なって向上す
る。
2)巧緻力 (手先を思い通りに使いこなす力)
手や指の神経は脳と密接につながっているため手先が思い通りに動くことは、
学習意欲、集中力の向上に反映される。
3)視覚認識力 (見る力)
人間は外部からの情報を8割以上視覚から得ると言われている。
そのため『見る力』は学習や運動を行う上で非常に大切な役割を担っており、すべての課題に欠くことのできない力。
4)聴覚認識力 (聞く力・話す力)
耳で聞いた情報を処理・理解する能力のこと。
聞く力は話す力と連動しているため、言語能力やコミュニケーション能力を
育むためにも大切。
5)空間認識力 (位置を正確に認識する力)
物の位置、形状、大きさ、方向を正確に認識できる。人や物をどのような状態にあるかを正しく理解できる力で、子供の成長において重要なもの。
上記の基礎力が体験的に十分身についていることが大切。
この基盤の上に
5歳の今、伸ばすべき力
1)言語力 (語彙力・文章構文・表現力)
①聞き取り(受信)からお話(発信)へとすすめる
まずは質の高い言葉をたくさん『聞き取る(受信)』こと、
そして獲得した言語を使い『話す(発信)』ことができるように。
②身振り手振りではなく発話を求める
うなずくのではなく、「ハイ」と返事をさせたり
指さしではなく言語化させる。
③単語だけでなく文章で話す習慣作り
まずは、正しい文章の復唱から始める。絵本をりようしたり、覚えて欲しい知識などから始めると良い。
のどが渇いた時にも『お水』ではなく『お水をください』と言うことを求める。
④語彙力アップ
知らない言葉や分からない言葉に出会ったときは、出来うる限り、実物をみせ(なければ写真やイラストでも可)意図的に教え語彙力をアップさせる。
⑤大人の役割
言葉数の少ないお子様には『聞き役』に、
言葉数の多いお子様には『対話の相手』になる。
2)思考力 (直観的な思考力から論理的に物事を考える思考力へ)
①疑問に対し論理的に答える
『どうして?』『なぜ?』という疑問に大人は論理的にしっかりと説明をする。
これまで、こどもが何となく感覚的にわかっていることを、大人の言葉によって論理的に理解できるように導く。
②意見を聞く
質問に対し、『あなたはどう思う?』と問い返し自分で考えてみる時間を与える。
このとき大人は、ステップに従った質問をする事で思考のプロセスを身につけさせる。
③否定しない
こどもの意見が間違っていたり、荒唐無稽なものだとしても批判などせず最後まで
話を聞く。
④お手伝いをさせる
お手伝いは手順や工夫を考えるだけでなく、責任感や自己肯定感も高めるもの。
こどもの心身の発達にとって大変有益。
3)集中力 (課題に傾注し能力を発揮する)
①心身、情緒の安定
十分な睡眠と規則正しい生活リズムを確保する。また精神的な安定は不可欠。
②環境つくり
気が逸れるような話し声やテレビの音、おもちゃやゲームなどを出来る限り排除する。また気温や湿度も快適かチェックする。
③興味を持たせる
こどもが楽しいと思えることから始める。
④適度な時間
5歳児の集中力の継続時間は15分程。メリハリをつけて行うことが大切。
⑤褒める
目標を達成したら褒める。成功体験を積み重ね自己肯定感を高め次へのやる気をもたせる。
4)ストレス耐性 (プレッシャーや失敗にめげない)
①プロセスを評価する
努力したことに対し結果ではなくプロセスを褒めることで、結果を恐れず
前向きに取り組む姿勢を身につける。
②自分で選択する機会を与える
『こうした方が良い』という親の考えを押し付けるのでなく自分で決めさせる。
例えば、『そろそろお片付けをしなさい』ではなく、『いつ頃お片付けできそう?』と選択権をわたす。また選んだことを尊重し責任を持たせる。
③失敗と挑戦
困難な状況に直面した時でも大人がすぐに介入せず見守る。
乗り越えた経験から、自分に自信をもち難しい場面でもポジティブに立ち向かう力が育つ。
5)協調性 (言葉を使ってのコミュニケーション力)
①あいさつの習慣
積極的にあいさつをすることを心がける。家族間の挨拶はもちろん、お友だちや近所方にも心をこめて挨拶をする。相手の表情や気持ちなど他者を気遣う練習となる。
②他者の立場を理解する
ケンカをした時どんな気持ちになるか、相手はどうか。また絵本などから登場人物の気持ちを想像し、他者の気持ちを理解する。
③ルールを守る
生活の中にはルールがありそれを守ることの大切さを知る。
ルールがあることでみんなが気持ちよく過ごせることを学ぶ。
上記のように5歳で飛躍的に伸びる力を発揮して学習に向かう姿勢を養いましょう
では実際に
家庭学習においての留意点を考えましょう
1)学習のための心と身体の準備が出来ているか
知的な側面の前に精神力と体力が不可欠。
2)復習の徹底
家庭学習の基本は復習。
学習量が最も必要な時期は5月~10月。本番に向け徐々に盛り上がるような曲線を描くよう計画をたてる。
3)基礎的な生活習慣と学習習慣をつける事を目的とする
*生活習慣 身の回りの自立
お手伝い
*学習習慣 短時間でも毎日決まった時間に机に向かって集中する
4)『理解の仕方』は人それぞれ、こどもの理解の道筋を知る
*こどもは五感を通して理解する
見る 聞く 触れる 感じる 体験する
*こどもは好きな事を通じて理解する。
わが子の理解の仕方を良く観察しアプローチの方法を考える。
5)こどもの興味を持続させるやり方で学ばせる
*遊び心を持つ
*長時間やらない
*苦手なものは中間で、得意なもので気持ち良く終わる
*同じことばかりやらない
6)課題の優先順位を考える(発達順に伸ばすことが大切)
1位 身体(生活習慣 → 運動 → 巧緻性)
2位 心 (プレッシャーに強くなる)
3位 知育
7)集団活動を経験する
個別授業で『個』を強化し、その力を集団の中で発揮する。
難関校にご縁をいただけるお子様の共通項は『学ぶことを楽しんだ子』です。
楽しめる学習か無理強いされたトレーニングか。
同じ内容でも、教える方法によって『学習』にも『トレーニング』にもなります。
学ぶことが楽しいと経験したこどもたちは、受験本番でも生き生きとした表情で楽しみながら試験に向かうことができます。
普段の生活を大切に、少しだけ意識的に過ごす時間が、自然にこどもの能力を伸ばすことに繋がります。
ぜひお子様に合った学習法をみつけ、よりよい受験期を過ごしましょう。
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