2025.03.28

幼児期の親子遊びが子どもの社会性を育む:研究結果が示す親子遊びの重要性

投稿日時:2025.03.28
最終更新日時:2025.03.27

幼児期は人間の発達において極めて重要な時期です。この時期における親子遊びは、子どもの社会性発達や情緒の安定、さらには親子の絆の形成に大きな影響を与えます​。近年の研究や論文でも、幼児教育の現場で親子が一緒に遊ぶことの意義が改めて注目されています。特に、小学校受験を視野に入れる保護者にとって、幼児期に培う社会性や対人関係能力は学習面と同様に重要です。本記事では、「手遊び」「かくれんぼ」「粘土遊び」など具体的な親子遊びの例を通じて、その遊びが子どもの社会的スキルや親子の絆、情緒的発達に与える効果を、国内外の研究​に基づき解説します。幼児教育の専門知見を踏まえ、家庭での取り組み方や小学校受験にも役立つポイントを探ってみましょう。

親子遊びが幼児期にもたらす社会性発達のメリット

幼児期の子どもは遊びを通して多くのことを学びます。親子遊びには次のような社会性発達へのメリットがあります。

  • 社会的スキルの学習: 親や兄弟、友達と遊ぶ中で、順番を待つ、ルールを守る、役割を交代するといった対人関係の基本を体得します​。また、共同で遊ぶ経験から、思いやりや共感といった社交的な態度も身につきます​。
    子どもの感情に寄り添い、共感することで、感情のコントロールや他者との関わり方を学びます。例えば、子ども同士の争いを見守り、後で一緒に振り返ることで、社会性を育むことができます。
  • 情緒の発達と自己コントロール: 遊びは子どもにとって感情表現と発散の場です。楽しい遊びの中で笑ったり驚いたりすることで、子どもは自分の感情に気づきコントロールする練習をします。特に親子の触れ合い遊びでは、興奮した気持ちを徐々に落ち着かせる体験を繰り返すことで情緒の自己調整力が育ちます。親と遊ぶ中で適度な刺激と安心感を味わうことが、感情の安定につながるのです。
  • 親子の絆づくり: 幼児期に親子でたくさん遊ぶことは、基本的信頼感の形成に寄与します。心理学者エリクソンが提唱した基本的信頼感とは、人は周囲を信頼できるという感覚であり、生涯の対人関係の土台となるものです。乳幼児期に十分な愛着関係(アタッチメント)が築かれた子どもは、その後の仲間関係でも円滑な対人行動を取りやすいことが研究で示されています。親と遊んで「自分は愛されている、大切にされている」という安心感を得た子どもは、新しい友達にも心を開きやすくなります。
    スキンシップや温かい言葉かけを通じて、子どもに安心感や自己肯定感を与えてあげましょう。
  • コミュニケーション能力の向上: 遊びの中での対話ややりとりは、子どもの言語発達とコミュニケーション能力を高めます​。親子で歌や手遊びをすれば言葉のキャッチボールが生まれますし、ごっこ遊びでは「○○してね」「次は△△しよう」といったやりとりを通じて伝える力・聞く力が育ちます。親が子どもの言葉やサインに応じてあげることで、サーブアンドリターン(乳幼児との積極的な応答的やりとり)が発生し、これが子どもの社会的コミュニケーション力の発達を支えると報告されています​。

このように、親子遊びは単なる気晴らしではなく、幼児教育の重要な一環として社会性や情緒面の発達に大きな役割を果たします。では具体的に、どのような遊びがどんな効果をもたらすのか、いくつか例を見てみましょう。

1. 手遊び歌

歌に合わせて手や体を動かす手遊びは、リズム感やコミュニケーション能力を育むのに効果的です。「いっぽんばしこちょこちょ」や「グーチョキパーでなにつくろう」などの手遊び歌を一緒に歌いながら遊びましょう。

  • 遊び方: 「いっぽんばしこちょこちょ」の歌に合わせて、親子で指を使って橋を作り、相手の手のひらをくすぐります。

2. ごっこ遊び

親子で役割を演じるごっこ遊びは、創造力や社会性を育てます。「おままごと」や「お医者さんごっこ」など、身近なシチュエーションを設定して遊ぶことで、子どもの想像力を広げることができます。

  • 遊び方: 「おままごと」では、親子で食材や食器を使って料理を作り、食事を共にする役割を演じます。「お医者さんごっこ」では、一方が医者役、もう一方が患者役となり、診察や治療を行います。

3. かくれんぼ

家の中や庭でのかくれんぼは、子どもの探究心や運動能力を高めます。最初は簡単な場所から始め、徐々に難易度を上げていくと楽しさが増します。

  • 遊び方: 家の中や庭で、親が目を閉じて数を数え、その間に子どもが隠れます。数え終わったら、隠れている子どもを探しに行きます。最初は簡単な場所から始め、子どもが上手に隠れられるようになったら、難易度を上げていきます。

4. ボール遊び

柔らかいボールを使って、転がす、投げる、蹴るなどの遊びを通じて、運動能力や手足の発達を促します。室内ではクッション性のあるボールを使用すると安全です。 

  • 遊び方: 柔らかいボールを使って、親子でキャッチボールをします。最初は近い距離から始め、徐々に距離を広げていきます。室内で行う場合は、クッション性のあるボールを使用し、安全に配慮します。

5. 絵本の読み聞かせ

一緒に絵本を読むことで、語彙力や理解力を育てます。お気に入りの絵本を選び、声を変えて読んであげると、子どもの興味を引きます。

  • 遊び方: 子どもが興味を持ちそうな絵本を選び、親が声を変えて読みます。ページをめくる際に、絵を指さしながら内容を説明し、子どもに質問を投げかけることで、理解を深めます。

6. ジェスチャーゲーム

言葉を使わずにジェスチャーだけで物や動物を表現し、相手が何を示しているかを当てる遊びです。コミュニケーション能力や観察力を養うのに役立ちます。

  • 遊び方: 親が特定の動物や物のジェスチャーを行い、子どもがそれを当てます。例えば、手を耳の横に当てて犬の耳のようにし、犬の鳴き真似をすることで、「犬」を表現します。

7. 粘土遊び

粘土を使ってさまざまな形を作ることで、手先の器用さや創造力を育てます。親子で一緒に作品を作りながら、楽しい時間を過ごせます。

  • 遊び方: カラフルな粘土を使って、親子でさまざまな形を作ります。例えば、丸めてボールを作ったり、伸ばして平らにしてみたり、型を使って動物や花の形を作ったりします。完成した作品を一緒に並べて鑑賞することで、達成感を共有します。

8. お絵描き

クレヨンや色鉛筆を使って自由に絵を描くことで、表現力や色彩感覚を育てます。テーマを決めて描いたり、一緒に絵を完成させることで達成感を味わえます。

  • 遊び方: クレヨンや色鉛筆を使って、自由に絵を描きます。親がテーマを提案し(例:好きな動物、家族の絵)、子どもがそれを描きます。描いた絵について親子で話しながら、創造力を育みます。

9. リズム遊び

楽器を使ってリズムを取ったり、体を動かしてリズムに合わせて踊ったりすることで、音楽的な感覚や運動能力を高めます。

  • 遊び方: 手拍子や足踏みをしながら、簡単なリズムを刻みます。親が手拍子をし、子どもがそれを真似ることで、リズム感を養います。また、タンバリンやマラカスなどの楽器を使って、一緒に演奏することも楽しめます。

10. パズル

ピースを組み合わせて絵を完成させるパズルは、論理的思考や集中力を育てます。親子で協力して取り組むことで、達成感を共有できます。

  • 遊び方: ピースを組み合わせて絵を完成させるパズルを親子で行います。最初は簡単なものから始め、徐々に難易度の高いものに挑戦します。完成した際には、一緒に喜びを分かち合い、達成感を味わいます。

これらの遊びを通じて、親子のコミュニケーションを深め、子どもの健やかな成長をサポートしましょう。遊びの中で子どもと向き合う時間を大切にしてみてください。

子どもが安心して成長できる環境を提供することが、健全な社会性の発達に繋がります。

遊びで育んだ社会性は幼児教育・小学校受験にも役立つ

幼児期に親子遊びを通じて身につけた社会性や対人スキルは、その後の幼稚園・保育園での集団生活はもちろん、小学校受験の場面でも大いに役立ちます。小学校受験では、筆記試験や面接だけでなく、グループでの遊びや行動観察といった試験を課す学校も少なくありません。そこで問われるのは、子ども同士で協力できるか、ルールを守れるか、初対面の子とコミュニケーションを取れるか、といった社会性の面です。幼児期から親との遊びやお友達との関わりで社会性を培ってきた子どもは、こうした場面でも自然と振る舞えるでしょう。

例えば、面接で「お友達と遊ぶときに大事なことは何かな?」と聞かれた際、自分の経験から「順番をまもること」や「仲良くすること」と答えられるかもしれません。また、グループ遊びの試験で初めて会う子と一緒に遊ぶときも、これまで親子遊びで身につけたコミュニケーション力や譲り合いの精神が発揮されます。反対に、遊びの経験が乏しく大人とのやりとりに慣れていない子は、緊張して自分を出せなかったり、トラブルへの対処が難しかったりするかもしれません。

幼児教室などでも、受験対策として集団での遊びの練習やソーシャルスキルトレーニングが行われますが、家庭での日常的な親子遊びこそが最良のトレーニングです​。家庭という安心できる環境で、親と楽しく遊びながら社会性の基礎を培うことが、子どもの自己肯定感を高め、新しい環境でも物おじせずに力を発揮できる土台となります。

おわりに:遊びで育った力をさらに伸ばすために

幼児期の親子遊びが子どもの発達に果たす役割について見てきました。親子で遊ぶ時間は、子どもの社会性や情緒面の成長を促すだけでなく、親にとっても子どもの新たな一面を発見できる貴重な機会です。ぜひ日々の生活に積極的に取り入れ、「遊びながら育つ」喜びを実感してください。

さらに、家庭で育んだ力を伸ばすために幼児教室の活用も検討してみましょう。幼児教室では、同年代の子どもたちと一緒に遊びや学びを経験することで、家庭では得られない刺激や社会体験を積むことができます。プロの先生の下で多様な遊びやカリキュラムに触れることで、子どもの好奇心や協調性が一層引き出されるでしょう。また、親同士の情報交換の場にもなり、子育てのヒントを得ることもできます。

体験レッスンに参加してみるのも良いでしょう。実際に親子で幼児教室の雰囲気を感じることで、子どもの反応や成長の様子を客観的に見ることができます。家庭での取り組みに加えて、こうした外部のリソースを上手に活用することで、幼児期の学びと育ちをさらに充実させることができます。

遊びを通じて育まれた力は、やがて小学校へと進むとき、そしてその先の長い人生において、子ども自身を支える大きな財産となります。幼児期というかけがえのない時間を、親子で思いきり遊びながら有意義に過ごしていきましょう。

お受験対策は体験レッスンお申込みフォームよりお問い合わせください。

参考文献

http://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-2002
船津徹「社会性を育てる方法とは?」(株式会社 児童英語研究所、2020年)

Lillard, A. S., Lerner, M. D., Hopkins, E. J., Dore, R. A., Smith, E. D., & Palmquist, C. M. (2013). The impact of pretend play on children’s development: A review of the evidence. Psychological Bulletin, 139(1), 1–34.

Okano, N., Kano, T., Ueyama, H., Yamada, Y., Tsuji, A., & Maeda, M. (2018). 継続型の親子運動遊びに関する実践的検討:「親子遊び手帳」の作成を通して. 三重大学教育学部研究紀要, 69, 383-394

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