「小学校受験における制作テストってどんなことをするの?どんなところを見てるの?」
多岐にわたる小学校受験の科目の1つに「巧緻性」という分野があります。
巧緻性とは、簡単に言うと「手先の器用さ」のことです。
巧緻性テストでは、「絵画」「制作」「生活習慣の基本的な作業」などの課題を通して、手先の器用さや丁寧さを見ていきます。
前回お話した「絵画」も、運筆力(筆圧や筆のコントロール)という視点から「巧緻性」を測ることができます。「描きたい形を描く」、「はみ出さずに綺麗に色を塗る」「工作の一部の小さいスペースに描く」などということは、ある程度の手先の器用さも必要不可欠になってきます。
「生活習慣の基本的な作業」というのは、例えば「洋服たたみ」「ボタンのつけはずし」や「紐通し・紐結び」「お箸」「お弁当箱包み」など、親から離れて自立した学校生活を送るために必要になる作業のことです。
今回のブログでは、巧緻性テストの中の「制作」についてのお話をしていきたいと思います。
【テスト形式】
制作テストは、学校によって出題形式が異なります。一人ずつ行う場合もあれば、グループで1つのものを作り上げる場合もありますし、「指示制作」と「自由制作」といった違いもあります。
「指示制作」は、「決められたものを、指定された材料を使って、指示通りに作る」というものです。
見本や説明通りに作品を作ります。作り方を教えてくれるので簡単と思いがちですが、子供にとっては案外難しく、高い集中力や観察力が問われます。集中しながら説明を聞いていないと途中ですぐにわからなくなってしまいますし、「同じ」にするためにはどのようになっているかをよく観察する必要があります。また全員同じものを同じように作るので、作品自体にはそこまでの差は生じにくいので「作るにあたっての過程」が評価の対象になります。
「自由制作」は、「テーマのみを与えられ、自分で何を作るか、どの材料を使うか考えて作る」というものです。例えば「好きな動物」「あなたの宝物」「こんなものがあったら便利だなという道具」など、様々なお題があります。課題に沿ったものを瞬時に考えて作らなくてはならないので、発想力・創造力・工夫力・経験値が必要になってきます。
【チェックポイント】
作品を作るので、もちろん出来上がりが綺麗で立派であることに越したことはないのですが、考査でのチェックポイントはそれだけではありません。
いずれのテスト形式でも、共通してチェックされていることがあります。
- 手先の器用さ
しっかりと指先を動かせているのか、力を込められているのか、握力があるのかが重要です。年齢相応の指先を使った作業をできるかを見ています。工作だけではなく、ボタンの付け外しや雑巾絞りなど日常生活のあらゆることで培われていき、手先の強化や筋力の発達につながっていきます。
- 丁寧さ
線にしっかりと沿ってハサミで切る、端までのりを塗り伸ばして貼る、など基本的な動作も雑にならないように丁寧に行いましょう。また、ハサミの刃を開いたまま置かないように、のりの蓋をあけっぱなしにしないなど、道具の扱いも丁寧を心がけましょう。
- 借り物をきちんと返せるか
テストでは学校が用意した教具を借りることになります。お借りしている物を丁寧に使い、使い終わったら忘れずにきちんと返しましょう。
- 道具を譲り合って使えるか
道具をグループで一緒に使うことがあります。その際にあえて人数分の道具が用意されずに、譲り合って使えるかを見られている場合があります。我先に、独り占めして使うなどがないように注意しましょう。普段からお友達との遊びの中で、譲り合いや他人を思いやる気持ちや協調性を学んでいくことも必要です。
- 道具(ハサミ・のりなど)が正しく使えるか
ハサミの構え方や切り方も、正しいやり方をしっかりと確認し定着させましょう。
のりは、「スティックのり」「アラビックのり(液体のり)」「ヤマトのり(つぼのり・チューブ)」など色々な種類のものがあります。どのようなのりが用意されていても戸惑わないように練習しておきましょう。のりの種類によっても塗り方や適量が違ってきます。
ハサミやのりなどは、数をこなしていくことで段々と「丁度いい具合」が分かってきます。簡単なものから日々練習していきましょう。
- 指示の理解力
指示の内容をきちんと理解できているかということは重要です。例えば集中して聞いていても、作り方の説明を1回で理解できないと同じ手順で同じものは出来上がりません。
色々な制作を経験することで、やり方や聞き方の免疫が付き、指示や説明を1回で聞きやすくなり、理解しやすくなります。経験を積んでいきましょう。
- 指示や説明を聞き取り守れているか
指示制作だけでなく、自由制作においても指示や説明があります。
例えば「必ず紙コップは使って作りましょう」や「セロハンテープは共有で使うので、使う時は使う分だけ切って持って行きましょう」など、条件や諸注意がある場合があるので聞き逃さないようにしましょう。
- 時間内に完成できているか
テストには制限時間があります。時間内に「完成させる」ことが重要です。
指示制作では「丁寧に慎重に・・・」となることはいいことですが、あまりにも時間をかけてしまってはいけません。「丁寧に手早くスムーズ」に作業できるように、練習を積みましょう。
自由制作では、すごいものを作りたい!細かいところまでこだわりたい!という気持ちはわかりますが、そこに時間を使って完成せずに途中で終了になってしまったら元も子もない話です。
「きちんと整った形で完成する」ということが最優先です。「おさえるべきポイントをおさえられているか」を意識しましょう。
おうちで制作して遊ぶ時も、時間を区切って時間内で作り上げる練習をしてみましょう。
最初はなかなか時間の感覚がつかめないかもしれません。10分ならおはじきを10個並べて、1分過ぎるごとに1個ずつおはじきをよけていくことで、時間の感覚をつかんでいくなど工夫してみてはいかがでしょうか。
完成しなかったとき、一緒に「ここを先に作っておけばよかったね」「この部分はなくてもよかったね」などと話し合うことで、次回の成功につながっていきます。同じものを何度も作って感覚やコツをつかんでいくのもおすすめです。
- 最後まで投げ出さずに精一杯できているか
うまくいかずに嫌になって作業が雑になってしまっていたり、途中で投げ出してしまう姿はとても残念です。たとえ上手に作れていなくても、一生懸命に真剣に取り組む姿は良い評価をされます。
また、自由制作などでも早く完成して時間が余ることもあるかと思います。そこで終了までぼーっと待っているのはもったいないです。「まだ工夫できるところはないかな」「ここをさらに付け加えたらもっと素敵になるな」など、完成した後も最後まで粘り強く向き合う習慣を付けていきましょう。
【最低限必要な工作能力】
工作能力はすぐに身に着くものではありません。
どんな課題がきても対応できるように、日ごろから練習しておきましょう。
●ハサミで切る
●のりやテープを使って貼る
●ちぎる
●ねじる(モールなど)
●丸める・巻く
●塗る・描く
●折る(折り紙など)
●紐通し・紐結び
●こねる(粘土)
色々な素材や道具に慣れておきましょう。
例えば毎回のりやセロハンテープを使うのではなく、両面テープやガムテープやマスキングテープ、ホチキスを使ってみましょう。使ったことがあるかないかで差がつきます。
同じハサミ切りでも、折り紙を切るのと厚紙や紙コップを切るのでは力加減も変わってきますし、アルミホイルも触ったことがないとうまく扱えないでしょう。
【対策】
工作が大好きな子もいれば、苦手と感じる子もいるでしょう。まずは「楽しい!」「できた!」を大切に、スモールステップで進めていきましょう。たとえ上手に仕上がっていなくても、まずは挑戦したことや上手くできた部分などを少し大げさに褒めて自信をつけさせましょう。完成した作品をお家に飾ってあげるのも認めてもらえたと感じ、自信とやる気アップに効果的です。
コツコツ積み重ねることが肝心です。折り紙なども含め、手先を使って何かを1つでも作ることを日課にしましょう。
自由制作は発想力・創造力・経験値が必要とお話しました。その力は「豊かな生活体験をしているか」ということからつながっています。アイデアの引き出しの数は実体験や、興味を持って培ってきた知識の数と同じです。たくさんの体験を積み重ねていきましょう。
また色々な工作の経験を積むことで、「テクニック(技術・方法)」の引き出しも増えていきます。
家族で同じ題材のものを各々作ってみるのもおすすめです。きっと選ぶ材料も違うでしょうし、同じ貼り付け方でも色んな付け方があるでしょう。そのことを知り、他の人のアイデアを吸収し、次の機会に生かすということも学びになります。
頭に思い描いたものを形にするための方法をたくさんストックしておきましょう。
最後に自由制作のワンポイントアドバイスを・・・。
●「なるべくたくさんの色を使う」
●「なるべく大きく、立体的に作る」
やはり色彩豊かだったり、ダイナミックな作品は見映えがよくなり、目を引きます。
難しいことを長々と話してきましたが、とにかく工作って夢中になれてとっても楽しいです!
まずは難しく考えずに、何か作ってみましょう!
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本部校 03-6910-0401