2024.12.13

小学校受験における絵画試験のポイントと対策方法について

投稿日時:2024.12.13
最終更新日時:2024.12.12

日本の小学校受験では、子どものさまざまな能力を総合的に評価するため、多岐にわたる試験が行われます。その中で「絵画試験」は、観察力や想像力、表現力などを測る科目として位置づけられています。絵画試験は単に「絵が上手いかどうか」を評価するものではなく、子ども自身の思考力や個性を知るための貴重な手段です。本記事では、絵画試験の目的、出題形式、評価基準、そして家庭での具体的な対策方法について詳しく解説します。

なぜ絵画試験が求められるのか

  •  観察力の育成:物事を丁寧に観察し、その特徴を捉える力は、他人を理解したり問題を発見したりする力の基礎となります。
  •  想像力の発展:新しいアイデアや独自の視点を生み出す想像力は、現代社会で求められる創造的な問題解決能力の出発点です。
  •  表現力の向上:自分の思いを他者にわかりやすく伝える力は、社会生活で不可欠なスキルです。絵画は言葉を超えた自己表現の手段であり、その力を試験で測ることができます。

また、幼児期の絵画活動には情緒を安定させ、自己肯定感を高める効果もあります。

そのため、試験対策として取り組むだけでなく、子どもの成長を支える意味でも重要な役割を果たします。

絵画試験の目的

絵画試験は、子どもの観察力や想像力、表現力といった多面的な能力を評価する場です。以下のような目的が含まれています。

1. 観察力、聞く力の評価

試験では、与えられたテーマや指示をしっかりと聞き取り、それを絵に反映する力が求められます。テーマに関連した特徴を的確に捉え、絵で表現できるかが重要です。日常生活での観察力や集中力も試されるため、普段から身近な物や出来事に興味を持つ姿勢が役立ちます。

2. 想像力の評価

指定されたテーマに対して、どのようにアイデアを膨らませ、具体的な絵として形にするかが評価されます。たとえば、「家族で楽しい時間を過ごした場面」というテーマが出された場合、子どもがどんな場面を思い描くかによって、その子の経験や価値観が見えてきます。

3. 表現力の評価

絵を通じて自分の考えや気持ちを他者に伝える力も、絵画試験では重要なポイントです。人物や物の動き、感情、風景の特徴などをどれだけ具体的に表現できるかが問われます。表現力は技術的な部分だけでなく、全体的なメッセージ性や構成力も含まれます。

4. 協調性や指示理解力

試験では、時間内に課題を完成させる必要があります。このため、学校側は、子どもが指示を正確に理解し、ルールを守って行動できるかを確認しています。自由な発想を大切にしつつも、指示に従いながら課題を完成させる力が重要です。

出題形式

絵画試験では、以下のような形式で課題が出されることがあります。それぞれの形式に応じた対策を行うことが大切です。

1. テーマ指定型

「楽しかった思い出」「好きな食べ物」「今日の夜ごはんにたべたいもの」など、具体的なテーマが提示されます。テーマを深く理解し、それを絵に反映させる能力が求められます。子どもが自身の経験や日常生活で見たものをどれだけ活かせるかが鍵となります。

2. 自由画

出題する学校は少ないですが、テーマが提示されず、好きなものを自由に描く形式です。この場合、子どもの個性や興味の対象が大きく反映されます。自由画を描くときにスムーズにアイデアを出せるよう、日頃から興味のあるものについて絵を描く練習をしておくとよいでしょう。

3. 模写

提示されたイラストや写真をそのまま模写する課題もあります。この形式では、観察力や指示を正確に守る力が試されます。たとえば、「この図形をできるだけ正確に描きましょう」という課題は、空間認識力や形の把握能力を測るために用いられます。

4. お話を聞いて描く

お話を聞いて描く課題もあります。

この形式では、お話を聞き、聞いたシーンを想像し、描かなければなりません。

スムーズに描けるよう、ご家庭でも絵本などを使い、練習しておきましょう

5.共同制作

他の子どもたちと一緒に1つの作品を作り上げる課題もあります。共同制作では、協調性や役割分担の理解、コミュニケーション能力が重視されます。

評価ポイント

試験官が注目する評価基準を理解することは、対策を練る上で非常に重要です。

1. 色彩感覚

色数をたくさん使えているかが大事なポイントです。

8色以上使えていると良いです。

2. 構図とバランス

画面全体をうまく使い、どのように構図を工夫しているかが見られます。人物や物が中央に偏りすぎたり、空白部分が多すぎたりしないよう、画面全体を活用することが大切です。

3. テーマの理解度

テーマを的確に理解し、それを絵で表現できているかが問われます。テーマと無関係な絵を描くと減点される可能性があるため、指示内容を正しく把握する力が重要です。

4. 表現力と細部の描写

人物や風景を描く際の細かい描写、動きのあるシーンの表現力が評価されます。たとえば、動きのある人物を描く場合、顔の表情や体の動きがどれだけ生き生きと描かれているかが見られます。

5. 独自性

他の子どもと同じテーマであっても、どのように工夫を加えて独自のアイデアを盛り込むかが評価されます。試験官は、「この子らしさ」を感じられる作品に高評価を与える傾向があります。

家庭でできる練習方法

絵画試験の練習では、ただ絵を描くだけでなく、テーマの理解から表現方法まで一連の流れを意識した練習が効果的です。

1.観察力を養う練習

普段から身近な風景や物事を観察する習慣をつけましょう。

たとえば、散歩中に木の葉の形や色を観察し、「どんな形をしているかな?」「この木は他の木とどう違う?」と問いかけることで観察力を高められます。

散歩中に見た花や公園で遊ぶ様子を家に帰ってから絵に描くことで、観察力と記憶力を鍛えられます。

2.描く機会を増やす

まずは自由に描く時間を確保し、描くことへの抵抗感をなくすことも大切です。「自由に描いていいよ」とだけ伝えるのではなく、「今日のお散歩のことを描いてみよう」「昨日見た映画で印象に残った場面を描こう」など、テーマを与えて練習するのも効果的です。

3. 基本的な絵の練習

描くことへの抵抗感がなくなってきたら、人物や動物、風景など、頻出テーマを事前に練習しておくことが大切です。特に人物画では、顔の表情や手足の動きを描く練習が大事です。

4. テーマを想定した練習

過去の出題例を参考に、「家族との思い出」「季節の行事」などのテーマで事前練習を行いましょう。具体的なシーンをイメージしやすいよう、大人が見本を描いてあげたり、絵本や写真を活用するのも良い方法です。

5.ストーリー性を意識した練習

テーマに沿った絵に描き慣れてきたら、テーマに沿った絵を描く際にただ風景や人物を並べるだけでなく、絵の中でストーリーを作るよう促しましょう。たとえば「動物園」をテーマにした場合、「動物が動いている様子」や「家族が楽しんでいる場面」などを絵に取り入れる練習を行うと、表現力が磨かれます。

6.制限時間を意識した練習

試験では制限時間が設けられるため、家庭でも10〜15分といった時間を区切り、完成を目指す練習を行いましょう。時間内に集中して取り組む習慣が身につけば、本番での焦りを減らせます。

7.発想力を高める

日常的に絵本を読んだり、物語を聞かせたりして、子どもの発想力を鍛えましょう。また、親子の会話を通じて、物事を多角的に考える力を養うことも有効です。

家庭でのサポート方法

親がどのようにサポートするかも、子どもの成長に大きな影響を与えます。

1. 褒めて伸ばす

子どもの作品を見て、良い部分を具体的に褒めることで、自己肯定感を高めましょう。「バランスよく描けたね」、「この色の組み合わせがきれいだね」、「ここを工夫して描いたんだね」といったポジティブな言葉かけを心がけましょう。子どもが自分の絵に自信を持つことで、試験本番でものびのびと描けるようになります。

2.失敗してしまったとき

絵を描く過程で失敗することはあたり前です。「うまく描けなかった」と落ち込む子どもに対しては、「どこが思ったようにいかなかったのかな?」「次はどんな風に描いてみたい?」と失敗を次の挑戦につなげる視点を与えることが重要です。また、失敗だけに注目せず、作品の中のいい部分を見つけて伝えてあげましょう。小さな成功体験を作ることも大事です。次に挑戦する際に、簡単なテーマや小さな目標を設定すると、達成感を得やすくなります。

3.適切な練習量

試験に向けた練習を過剰に強いると、子どもがプレッシャーを感じてしまいます。

楽しみながら練習に取り組める環境を整えましょう。

4. 多様な画材を提供する

クレヨン、色鉛筆、絵具など、さまざまな画材を使わせることで、表現の幅が広がります。試験当日も慣れた画材を使えるように準備しましょう。

5.美術館や絵本、映画で刺激を与える

美術館を訪れたり、絵本を読んだり、映画を見ることで、表現力や創造性を刺激できます。親子で一緒に作品を鑑賞し、感想を共有するのも良い経験になります。

6.試験日の心構えを伝える

「一生懸命描けばそれだけで素晴らしい」と伝え、結果よりもプロセスを大切にする心構えを育みましょう。

受験期の親子のコミュニケーションを高める

絵画試験は、親子の信頼関係を深める絶好の機会です。日常生活の中で子どもの話をよく聞き、描きたいテーマや感情に寄り添いましょう。「どんな風に描きたい?」「この色を選んだ理由は?」と問いかけることで、子どもの考えを引き出すことができます。

また、親が絵を描く様子を見せるのも効果的です。「お母さんも一緒に描いてみよう」といった共同作業を通じて、子どもが描く楽しさを共有することができます。

まとめ

小学校受験の絵画試験は、観察力、表現力、想像力、指示理解力など、多面的な能力を総合的に評価する試験です。日常生活の中で観察力を養い、テーマに基づいた練習を重ねることで、十分な準備ができます。また、親子で一緒に楽しみながら取り組むことで、子どもが絵を描くことに自信を持ち、試験当日も落ち着いて力を発揮できるでしょう。

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