【筑波大学附属小学校】のご紹介と入試傾向や対策ポイントについて
11月も半ばを過ぎ、いよいよ国立小学校の受験も近づいてまいりました。
今回は、首都圏にある国立小学校の中でもトップクラスの人気を誇る
【筑波大学附属小学校】のご紹介です。
筑波大学附属小学校は、筑波大学の附属小学校として、東京都文京区に位置しています。この学校は、学術的な研究機関と密接に関係しており、初等教育における教育実験や実証研究を行うことを使命としています。そのため、一般的な小学校とは異なる特徴や教育方針を持っており、教育界でも注目されています。
学校としての地域社会や国際社会との関わりを重視し、児童が『自らの力で未来を切り拓くための力を養う場』ともなっており筑波大学附属小学校は、教育の質が高いだけでなく、児童の多様な能力を伸ばすための特別な環境が整っていると言えるでしょう。
目次
1. 学校の使命と目的
筑波大学附属小学校の主な目的は、教育に関する実験や研究を行い、それを通じて日本の初等教育における改善や発展を図ることにあります。そのため、通常の学習指導だけでなく、新しい教育方法やカリキュラムの導入、教育技術の検証などが行われています。
筑波大学と連携し、教育学や心理学、カリキュラム開発に関する研究成果を直接教育に反映することが可能であり、特に初等教育の革新に寄与することが期待されています。
2. 教育方針
筑波大学附属小学校は、『人間性豊かな児童の育成』を目標に掲げています。
これは、学力の向上だけでなく、児童一人ひとりの個性を尊重し、豊かな人間性を育むことを重視しています。
中学校受験のための特別な準備は行わず、知識教育だけでなく心の発達や社会性を育むことが重要視されています。また、最新の教育理論や技術を試行し、実際の教育現場での効果を検証する機会も提供されています。
3. 筑波大学附属小学校の特徴的な活動
学校生活は、通常の学習に加えて、多彩な体験活動が取り入れられています。
■ 表現活動:音楽や美術、演劇など、さまざまな表現活動がカリキュラムに組み込まれており、児童の感性や自己表現力を伸ばすことを目指しています。
- 国際交流:多文化理解を深めるために、海外の学校との交流や国際理解教育が行われています。これにより、児童は異文化に触れ、広い視野を養います。
- インクルーシブ活動:特別支援が必要な児童も含め、すべての児童が平等に教育を受けられる環境が整えられ、児童たちは多様性を受け入れる心を育む機会を得ます。
さらには校内外の自然観察や実地体験や地域社会との交流活動も積極的に行われ、これらの活動を通じて、児童が自分自身や他者の多様な価値観を尊重し、視野を広げていきます。
4. 教育研究の一環としての特色
筑波大学附属小学校では、教育研究の一環として特定の教育方法やプログラムが導入され、それを実際の教育活動において検証しています。児童の発達段階に応じたカリキュラムの実践やICT教育の導入などが行われ、教育現場における新しい手法が積極的に試みられています。
5. 入試傾向と選考基準
筑波大学附属小学校の入学試験では、学力だけでなく、個性や発達の特性、協調性を重視した選考が行われます。
■第一次選考(抽選):令和6年11月9日に行われ、今年は女子の抽選通過率が約47%、男子の抽選通過率も約47%と、男女同率という珍しい年でした。
■第二次選考(考査):令和6年12月15日・16日・17日の3日間実施されます。
日生年月日で分けられたA(4月2日から7月31日生)、B(8月1日から11月30日)、C(12月1日から4月1日生)の男女3グループずつ計6グループで行われます。
■第二次選考発表:令和6年12月18日
■第三次選考(抽選):令和6年12月19日 例年、約1.5倍の倍率となっています。
■入学候補者発表:令和6年12月20日
<考査内容>
例年、ペーパーテスト(お話の記憶とその他一項目)、行動観察、制作課題、絵画課題、運動テスト、口頭試問などが含まれ、知識だけでなく総合的な人間力を評価する内容となっています。
ペーパーテスト
問題の量が多いにもかかわらず、解答時間が短いことが特徴の1つです。毎年、話の記憶と図形問題が出題され。2021年度入試では新しく数量が加わりました。クーピーペン(赤色・青色・黄色・茶色・緑色など5色程度)、鉛筆を使用して解答し、訂正方法は(×)印をつけます。解答に使用するクーピーペンの色の指示を聞き取れているかも差が付くポイントとなります。
話の記憶は校内放送による一斉出題でおこなわれ、8~10問程度。登場人物達が話の中でおこなった行動について聞かれる事が多く、その他にお話に出てきたフレーズから季節を推測したり、物の数を答える・数を分配した個数を求めるなど、ただ記憶するだけではなく、考える力と生活知識も必要な問題です。日頃からやや長めのお話の問題を取り組み、細かい部分までしっかり聞き取る力が必要とされます。季節(行事・植物・野菜・果物)や数の出題もある問題を取り組むなど、実戦的な練習が解答のポイントと言えます。
図形問題では、回転図形・重ね図形・対称図形などの他、構成や観察力の課題でマス目を使った図形が頻出しています。解答を選択肢から選ぶパターンの問題や、解答を自分で記入するパターンの問題などにも、しっかりと対応出来るように慣れておく必要があります。筑波の図形が難しいと表現される理由は、効率と工夫をもってして取り組む力が無ければ、到底最後の問題まで到達出来ないからなのです。事実、半分から7割程度で終わってしまったという話をよく耳にします。素早く問題を解くためには経験も大切ですが、運筆力、集中力も不可欠です。初見に対応できる柔軟な思考力も試されます。難しい問題や正答率にばかりに注目するよりも、頻出課題のパターンを変えた類題で実践力をつけておきましょう。
制作課題
最初に材料が配られ、作る様子を映像で見せ、工程の説明をした後から取り組むことになります。また、出来上がったお手本は前に掲示された状態で、作業中もお手本作品を見ながら取り組むことができます。
制作の作業工程は5~6つ程度。道具を使わない制作ですので、手先の巧緻性が求められます。作業としては「紙をちぎる」、「紙を折る(折り紙)」、「紐を結ぶ」、「シールを貼る」、「色を塗る」、「点線をなぞる」、「糊で貼る」、「モールをねじる」などが良く出ており、工程の随所で試されています。図形ペーパーと同様に作業時間は短く、数名しか完成までたどり着けないものとなっています。素早く作業を進めるのはもちろんですが、紙をちぎる・紐を結ぶなど作品の完成度の影響する作業については、丁寧さも必要です。指示を正確に聞き取り、手先の作業がいかにスムーズに効率的に進められるかが裏のテーマと言えます。
運動
体操と集団行動が同時進行でおこなわれます。体操教室では、例年クマ歩き(走り)が出題されています。年によっては、マットで前転、鉄棒に懸垂のポーズで持久力測定をしてからクマ歩きで進んでいくパターンもあります。他のお友だちがクマ歩きをしている最中は「静かに待つ」、「応援して待つ」のいずれかの指示がありますのでここではその指示をしっかりと守れているかがポイントです。
クマ走りで進むコースにはコの字型のコースですから途中でカーブがあります。床が滑りやすく全速で推進する体を手で支える力も必要になります。クマ歩きで転んでしまう子の特徴として、視線が下向きになっていることが挙げられます。顔を上げ進む方向を向いていて膝を少し曲げる姿勢にすることでバランスよく体重が乗ります。全速でも前のめりになりすぎないように意識するだけで転倒しないクマ歩き(走り)ができるようになります。走行距離の約30mを転ばないように最後まで根気よく取り組めるかがポイントと言えます。
行動観察
チームごとに先生がじっくりと評価をすることになります。課題はおもちゃや紙コップなどの廃材を扱ったゲームや競争が多く行われます。競争となれば、当然急いで作業を進めることになりますが、独り相撲になってしまわないように例えば積んでいるメンバーに紙コップを渡す係、高く積むことでグラついた紙コップタワーを支える係など、率先して他のメンバーを助ける役割を探し、協力を意識した取り組みが欲しいところです。競争に勝つことよりも、自分の役割、一緒に取り組むメンバーの事を意識した取り組みがポイントと言えます。
<保護者の作文>
受験生が控室から試験教室へ向かった後、保護者は講堂に移動し、テーマに沿って400字程度の文章を記入することになりますので、ある程度の準備が必要と言えます。そのほかの注意点としては、誤字の訂正は=で示す、25分程度の制限時間で記入していく、スマートフォンなどの電子機器は使用しないこと、などがあります。
作文の前には学校紹介の映像を鑑賞。
※2021年まではグループごとに違うテーマでしたが2022年以降はグループ共通となっています。
〔父母作文:過去のテーマの一部〕
・お子さんが本校で6年間学ぶことでどのように成長するイメージを持っていますか。
学校紹介や校長の話に関連付けて具体的にお書きください。
①授業や日常生活 ②学校行事 ③ ①,②での保護者のサポートについて
・お子さんが本校で6年間学ぶことでどのように成長するイメージを持っていますか。
学校紹介や校長の話に関連付けて具体的にお書きください。
①子の得意、不得意
② ①を踏まえて予想される学校でのつまずき
③ ②を踏まえた保護者のサポートについて
・現在、仕事をしている方でも2年間は学校役員の役割があります。父母の役割についてどう思われますか。
・子どもが学校に行きたくないと言っています。親としてどう対処をしますか。
・子どもが学校で喧嘩をして怪我をして帰ってきました。親としてどのような対処をし、子どもに何と言い聞かせますか。
・自分の子どもが先生に怒られていたとクラスの保護者から聞きました。子どもに真意を確かめても何も言いません。このようなときどうしますか。
・学校の指導方針とご家庭の教育方針が異なることもあると思いますが、その点はどのようにお考えですか。具体的に書いてください。
・仕事と学校行事・役員業務が重なった場合どうしますか。
・本校の3泊4日の林間学校は体力・精神的にも厳しいものです。保護者としてどう考え、どのようにサポートしますか。
6. 入試対策のポイント
筑波大学附属小学校の入試対策としては、以下の点が挙げられます。
• 家庭での読み聞かせ:話の記憶や理解力を高めるため、親が子どもに本を読み聞かせ、内容を要約させることで記憶力や理解力を養います。また、季節の行事・花・野菜・果物など季節ごとに触れることが大切です。
• 図形遊び:ペーパーテストの図形問題に対応するために、パズルやブロック遊びで空間認識力を高めることが推奨されます。
• 協調性を育む遊び:友達や家族と一緒に活動する遊びや課題に取り組むことで、協調性やコミュニケーション能力を育てることが重要です。また、約束を守ることの大切さも日頃から家族で意識して過ごしましょう。
• 巧緻性:普段から自分の事は自分で行う習慣をつけ、ひも結びなど、指先を使う作業を日常的に行い、手先の器用さを鍛えることが求められます 。
以上、筑波大学附属小学校についてお伝えしてまいりました。
本番には普段通り万全の体調で臨めるように、 お子さまの体調管理はもちろんのことですが、 ご家族の皆様の体調管理も、 いつもにも増して気をつけていただけたらと思います。 本番まであとわずかとなりましたが、残りの一日一日を大切にお過ごしください。
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本部校 03-6910-0401